最近、ビジネス関係の本はほとんど読んでおりませんでした。
「このメソッドは属人的」「一過性の流行で書かれている」
など、どうもビジネスノウハウ系の本を敬遠する傾向がありました。
しかし、私の尊敬する「ビジネス書10000冊を読み」、ご本人も定年後100年時代」などの著作をされている大杉潤さんが勧めてくださったのがこの1冊ですべてわかる
人材マネジメントの基本です。
人材マネジメント系の本は数ありますが、ここまで「もれなく」書かれた本は他にはないのではないでしょうか。このコロナ禍で起こっている様々な企業・個人の変化にも言及され、まさに今読むべき本です。
序章と合わせ、全8章で構成されています。
序章
第一章 人材マネジメントの目的と役割
第二章 時代の要請と人材マネジメント
第三章 「人材獲得」における人材マネジメント
第四章 「人材育成」における人材マネジメント
第五章「人材の評価と組織運営」における人材マネジメント
第六章 社員が活躍しやすい組織をデザインする
第七章 持続して成長する組織をつくる人材マネジメント
序章 人材マネジメントの重要性では、
人材マネジメントの定義を「個人(社員やメンバー)が、所属する組織や社会のために、能力を最大限に引き出し、発揮することを支援する組織の関わり」とし、
新型コロナウィルスの影響下における就業意識の変化、個人の価値観、行動の変化に触れています。
ヒューマンリソースからヒューマンリレーションシップを軸に、
現場を筆頭に考え、周囲が支える構造や、「信頼」「感謝」「尊重」の関係作りの大切さを説いています。
第1章 人材マネジメントの目的と役割で、
より具体的に人材マネジメントの目的や役割、構成要素、機能などについての解説です。
組織をデザインする7Sの視点や、ヒエラルキー型組織からホラクラシー型組織への組織の在り方、人材にはゼロから1を生み出す人材、1を100にする人材、確実に継続する人材と3種類あること、
マネージャーには傾聴力、質問力、ファシリテーションスキルが必要、とあります。
第2章 時代の要請と人材マネジメント
人材マネジメントを取り巻く社会的な変化とそれに呼応するために必要な人材マネジメントは何かという視点で、
働き方改革 通年採用、副業&フリーランス、女性活躍、男性社員の育休、介護離職、
シニア人材、外国人雇用、と今まさに知りたい内容が書かれています。
第3章 人材獲得における人材マネジメント
シニアの再雇用、契約社員、派遣社員、M&Aによる人材獲得など、様々な人材獲得方法とともに、VUCA時代(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)について述べられています。
また、コロナ禍での新卒採用についてのコラムは必見です。
第4章 人材育成における人材マネジメント
人材の育成方法について。
山本五十六の有名な名言とその難しさが述べられ、「傾聴」の大切さ、リカレント教育、キャリアパスの複線化などに言及されています。
第5章 人材の評価と組織運営における人材マネジメント
7つの評価エラー、プロセス評価(KPI) 結果評価(KGI)、OKR導入について解説されています。
第6章 社員が活躍しやすい組織をデザインする
人材の適材適所や組織の在り方について。「どんな優秀な人材を集めても、企業がその人材を活かせなければ意味がない」という言葉は響きます。
安心して働ける環境づくり、SDGsへの対応にも言及しています。
第7章 持続して成長する組織を作る人材マネジメント
持続的な組織つくりにおいて大切な考え方や、信頼、感謝の大切さ、ダイバーシティについても解説されています。
最後に「いつの時代も一人でも多くの人をしあわせにすること」が人材マネジメントの普遍的な目標であると述べられています。
私はキャリアコンサルタントをしていますが、企業・個人のあり方が目まぐるしく変わっていく中で、「傾聴」「信頼」の大切さが解かれていることに感銘を受けました。時代がどれだけ変わろうとも変わらない、変わってはいけないものがある、ということを改めて認識しております。また、今後キャリアコンサルタントとして企業と関わってゆく中で、必要な知識を得られたことが至高の機会でした。
「人材マネジメント」はあらゆる立ち位置の方に必要なスキルです。関係の質を高めるスキルは家庭でも学校でも必要です。役職者や管理職の方だけではなく、
「読者の皆さんが今、いる場所において出来る限り、人を幸せにするための手法であり、考え方である」
著者の思いを体現する名著です。